このたび、『庄・蔵本遺跡5-第34・35次調査地点-』が刊行されました。2019~2021年度に徳島大学埋蔵文化財調査室が蔵本キャンパスにおいて実施した寄宿舎棟、多用途型トリアージスペース建設にともなう発掘調査の成果をまとめた報告書です。第34次調査(寄宿舎棟地点)では、弥生時代前期中葉(紀元前5~4世紀)の居住地を取り囲む、二重の大溝の一部などが確認されました。また、本遺跡の始まりを示す縄文土器のほか、弥生時代のものとしては、朝鮮半島とのつながりを示す擬朝鮮系無文土器、北部九州から持ち込まれた可能性のある「層灰岩」製石斧なども出土しました。第35次調査(多用途型トリアージスペース地点)では、弥生時代前期中葉の水田などが確認されました。いずれも、過去の集落景観、農地経営、生活などの復元に役立つ貴重な資料です。